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Quiet Day

「BANANA FISH」二次元妄想小説サイト。

終わりなき夜に vol.3 

なあ、シン。
オレも何度か仲間に死なれてきた。だからわかる。

大切なヤツを失っても、じつは生きていくのはけっこう簡単だ。
起きて、メシ食って、暴れて、女ひっかけて、寝て。
そんなことを積み重ねてりゃ、毎日はただ過ぎていく。

だけど、夜中にとつぜん目が覚めたら…
そん時は…

あいつは、アッシュがいないことを思い出すんだろう。

何度でも。
くり返し。
なじみの悪夢みたいに。

それを考えると、オレは苦しくなる。
これはひどい。これは本当に、ひどい。

ほんとは、アイツは日本へ帰るのが一番いいんだろう。
だけど、イベやマックスがどんだけ説得しようが、
あいつはガンとしてうなずこうとはしなかった。
終いにはオッサンふたりとも、怒鳴りつかれてヘロヘロになってたっけ。

お前にもわかるだろう、英二が決めちまったらどうしようもねぇんだ。
誰も気持ちを変えさせることは出来ない、
あのアッシュ・リンクスですらそうだったんだ。

だからオレは、せめてあいつをここから出すことにした。
いわば、妥協案ってヤツだよな。
…火事の現場から、大切なものを運び出すみたいに…?
何だよ、ソレ。意味がわからねぇよ。

それで、お前に頼みたいんだ。
どっかまともな…そうだな、グリニッヂビレッジあたりで、
てごろな部屋をみつけてくれないか。
英二がバイト代で、家賃を払っていけるくらいの。
お前らチャイニーズのネットワークなら
そんなワケあり物件さがすのも朝飯前だろ?

部屋が見つかったら、オレから英二にいう。
「ここから出て行け」って。
女を住ませたいとか、まあ理由はいろいろつけられるだろ。
そしてオレたちは、あまり会わなくなると思う。
少しずつ、やがてはすっかりな。

だからお前には、もっと英二のそばにいてやってほしい。
ラオのことで、お前の立場が複雑なのはわかってる。
それでも、やっぱりお前しかいねぇんだ。
お前、あの若様んとこで、大学いくベンキョウしてんだろ?
きっとこれからは、そういう奴があいつのそばに必要なんだ。

あいつはきっと大丈夫だ。
いずれ新しい生活の中で、いいダチもできる。
あいつによく似合う、マトモな奴ら。
そりゃ、オレやボーンズたちだってあいつのダチだけど。
でもやっぱオレたちは…クズだからな。

だけど、そうしてあいつがこの街で
オレたちより仲のいい奴をつくって、
いつかアッシュのこともあまり思い出さなくなったら…

そしたら、オレの胸はきっとひどく痛むと思うんだ。
あいつがなるべく辛い思いをしないよう、
願ってるのは嘘じゃねぇさ。
嘘じゃねぇけど…

なあ、お前らやケインと手を組んでたとき、
アッシュと英二はデキてるって噂してたヤツらもいたよな。
山猫は、日本の可愛い仔猫にすっかりイカレちまったってさ。
でも、オレたちにはわかってた。そうだろ、シン?

あのふたりのあいだにあったのは、
そんな下世話なもんじゃなかった。
それよりずっとやさしくて、きれいな何かだった。

ずっとそばで眺めていたいくらいに。
どうしても忘れられないくらいに。


…酔って少ししゃべりすぎたな。
引き止めて悪かった。
部屋の件、よろしく頼む。
オレは少しぶらついて、酔いを覚ましてから帰るさ。

おっと、なんだこの足元のでけぇの。
…ああ、ジャック・オ・ランタンか。
そっか、先週はハロウィンだったんだな。

そういや、こないだボーンズが
「あのアパートでハロウィンパーティをしたことがある」
って言い出しやがったんだ。
聞けば、よりによってオーサーとアッシュが勝負をつけた
その日にだぜ?

ハハ、たしかにダセェよな。
世紀の対決を前に、
ストリートギャングがハロウィンもねぇだろ、なぁ。

でもよ、そんなに悪いもんでもなかったらしい。
英二がうまいもん用意してはしゃいで、
あいつやコングが悪ノリして、
アッシュに怒鳴られて。

…まったく、ふざけた話だよな。

オーサーとの勝負は文字通り命がけだったってぇのに、
あいつが思い出すのは、そのハロウィンなんだ。
このかぼちゃ頭をみてると、
懐かしくてなんだか少し泣きたくなるって。

なあ、笑っちまうだろ、シン?

END

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Posted on 2010/09/26 Sun. 18:00 [edit]

category: BANANA FISH(創作)

thread: 二次創作小説(版権もの  -  janre: アニメ・コミック

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