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Quiet Day

「BANANA FISH」二次元妄想小説サイト。

インタビュー 

※『終わりなき夜に』のエピローグ編です

こんにちは。
初めまして…ではないですね?

ああ、やっぱり。
個展のときに取材にいらしたかたですね。
あのときはいい記事を書いて下さって、ありがとうございます。

…ああ、ネットのうわさのことなら、耳に入ってます。
ぼくの個展に展示されたある写真の被写体が、
過去の少年犯罪者にとてもよく似ていると。

あれは、今はもう亡いぼくの親友の写真です。

彼はわがままで、皮肉屋で、
だけど神様がつくったどんな人間より美しい、
かけがえのない人でした。

自分ではわからないけれど、
彼の死後、ぼくはとても変わったそうです。
たぶん彼は、ぼくの一部も連れていってしまったのでしょう。

彼を失ったあと、ぼくはただ街をうろついて写真を撮り、
働いて、食べて、眠りました。
でも、どんなに手堅い日常を積み重ねても、
ときどきふっと現実が遠ざかる。
どうしようもなく独りだと思ってしまう。

いま思い返すと、あの頃の自分はあいまいで、
その先につながるものを何ひとつもたない、
かたちのない生きもののようでした。

そんなとき、ある友人がぼくに言ったのです。
彼は先に行ってしまっただけだと。
いつかきっと、また会えるのだと。
その言葉は思いがけないほど、ぼくの心を慰めました。

大切な人が自分を待っていてくれると思うのは、いいものです。
いつかぼくの生が終わるとき、彼がそこにいてくれるのなら
ぼくはこの人生で見つけた良いものを集めて、
贈りもののように彼へ届けてあげたい。

子どもじみた考えかもしれませんが、
そう思うことでぼくはやっと、
次の扉に手をのばす勇気がもてたのです。

共に過ごした短い日々の中で、ぼくは彼にいくつか約束をしました。
へたくそなピアノを聞かせること。
ぼくの故郷へ連れていくこと。
ずっとそばにいること。

ぼくはそれを、ひとつも守ることができませんでした。
ほんとうに、何ひとつ。
だから、この約束だけは守らなくちゃいけない。
これは誓いであり、契約なんです。

写真を撮り続けるのは、だからです。
ぼくは今でもレンズをのぞくとき、
かつて彼が照らしてくれた光のなかで、
この街を、世界を見ているのです。

狂ったように夜の街を走る車の窓から見た高架線。
図書館のそばの屋台からただよう、プレッツェルの香り。
フェリーからながめた美しき女神。
きっと、何十年たっても忘れないあの日々。

きれいは汚い、汚いはきれい。
みんな、彼が教えてくれました。

だからその日までは、ぼくは自分の中の生を生きてゆきます。
過ぎていく時間のすきまや、光のなかに目をこらして。
カメラのファインダーごしにみえる一瞬を、
永遠に見せるまねごとをしながら。


━ いつか、会えるに違いないと。

END


昨年秋からずっとPCの中に眠っていた駄文を、やっと完成させて放出することができました。
ああ、すっきりしたー!
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Posted on 2011/05/21 Sat. 01:11 [edit]

category: BANANA FISH(創作)

thread: 二次創作小説(版権もの  -  janre: アニメ・コミック

TB: --    CM: 5

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