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Quiet Day

「BANANA FISH」二次元妄想小説サイト。

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プレゼント 

まぶしい。
目を閉じていても、光がまぶたを通して突き刺すようだ。

午後1時半。
アッシュは薄目をあけてデジタル時計の時刻を読み取り、
ふいにその日付に思い当たった。

8月12日。
オレの誕生日か。
彼が18歳になってから、もう半日以上が過ぎていた。

部屋に帰ってきたのは、すでにNYの朝のラッシュも終わる時刻だった。
どうせ夕方にはまた出るから起きていようと思ってたのに、
窓辺でつい横になってしまったようだ。
アッシュは夢うつつに、じりじりと照りつける夏の陽射しを意識した。

18歳になったからといって、どうということはない。
誕生日を祝うなんて習慣は、とっくに失われて久しかった。
彼はあらゆる意味で、ふつうの少年とは違う人生を歩んでいるのだ。
グリフィンが戦場へと去ったときから。

アッシュは久しぶりに、あの優しかった兄を心に思い描いた。
何もかもが狂いだす前のほんのわずかな年月、
グリフは自分の世界の中心だったのだ。
その後、正気を失ってさえも、
兄は光ある世界との繋ぎ目で、錨だった。

眠りと目覚めのあいだの世界をぼんやりただよっていると、
廊下から軽い足音が近づいてきた。
パタンとドアが開けられる。

「アッシュ、食事の用意が…」
呼びかけた英二の声が、ふいに途切れる。

自分の顔をのぞきこむ気配がした。
やがて彼は窓に歩み寄り、
音を立てないように静かにカーテンをひいた。
顔に差し込んでいた陽射しがさえぎられ、
浮かんだ汗が少しずつひいていく。

彼は戻ってくるとそっと手をのばし、
アッシュの湿った前髪をやさしくかき上げた。
あらわになった額に、すう、と風が気持ちよくあたる。

英二がささやいた。
「おやすみ、アッシュ」

そのまま彼は足音を忍ばせて、静かに部屋を出て行った。
その気配を背中で感じながら、アッシュはじっと動かずにいた。

『おやすみ、アスラン』

それは、遠い日の優しい儀式。

どこでも眠ってしまう小さな子どもに、
兄は笑いながらそうささやいて、
身をかがめ額にキスした。
きっと世界中で行われているはずの、ありふれた儀式。
それにどれほど焦がれていたか、今まで気づきもしなかった。

カーテンを通して差し込む夏の光は、おだやかで優しい。
外の騒音が遮断された部屋の中は、とても静かだ。
かすかに、英二が立ち動く物音が聞こえてくる。
アッシュは体の力を抜き、薄く目をあけた。

自分にとって英二は、いつかは返す贈り物だった。
それでいい。
悔いはない。
これほど戦い、これほど失ったあとに、
これほどの愛情を手にしたのだから。

アッシュは無意識に微笑んでいた。
それは、誕生日の少年にとてもふさわしい笑顔だった。

END


こんなんで申し訳ないけど、誕生日おめでとうアッシュ!!
いままでも、これからも、ずっときみを愛してるよ。
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Posted on 2011/08/12 Fri. 22:35 [edit]

category: BANANA FISH(創作)

thread: 二次創作小説(版権もの  -  janre: アニメ・コミック

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