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Quiet Day

「BANANA FISH」二次元妄想小説サイト。

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終わりなき夜に vol.2 

先週、オレは夜中に、セントラルパークに行くはめになった。
ヤクにはまりかけたうちの下っぱ野郎がよ、
あそこでガードの甘いカップルを狙い、
痛めつけては金をまきあげてやがったんだ。

その晩、オレたちはそのはねっかえりに
じっくりと組織の掟ってやつを教えてやった。
いや、当分はそいつのおふくろでも
息子の顔を見分けられなかっただろうな。

セントラルパークからは散り散りに解散した。
オレは、イーストサイド経由で戻ることにした。
あのあたりに足を踏み入れるのは、ずいぶんと久しぶりだったんだ。
目が思わず、アッシュと英二が住んでたアパートを探してた。
そんとき、道の向こうに英二が見えたんだ。

あいつは紺のダッフルコートを着てた。
ありゃ誰が見ても、ジュニアハイの生徒にしか見えねぇだろうな。
でも、オレにはもう英二はガキに見えなかった。
ガキみたいな顔した、疲れた若い男に見えた。

あいつは、あのアパートを見上げていた。
アッシュと暮らしてた、あの部屋の窓を。

オレは英二に近づいて声をかけようとした。
そのとき。

あの部屋の窓に灯りがともったんだ。
いや、人影が見えたわけじゃない。
でも、あいつはそれをじっと見つめてた。
あのでっかい目を、こぼれおちそうなくらい見開いて。

寒い夜って、なんか空気が違うよな?
透明で、何もかもいつもよりくっきり見えるんだ。
あいつのガキっぽい頬の線。
くちびるからうかぶ白い息。
黒い髪におちる街灯の光が、離れていてもはっきり見えた。

「英二」
オレはほとんど、ささやくような声で呼んだ。
でも、あいつは気づかなかった。
そのちいさな顔には、どんな感情も浮かんでなかった。
あいつはただ、あの灯りにすっかり魅せられてたんだ。

なんだかオレは、変な気分になった。
あいつの肩をつかんでめちゃくちゃにゆさぶってやりたいような、
女にするみたいにやさしく抱きしめてやりたいような。
オレはほとんど、そのどっちかをやりかけてた。

そのとき、学生らしいグループがどっと笑いこけながら
オレたちの横を通り過ぎていった。
英二は夢からさめたようにそれを目で追って、
そしてオレに気づいた。

「アレックス」
あいつはゆっくり言った。
その声で、空気の色が変わるのを感じた。

「やあ…寒いね」
あいつは微笑んで、オレの顔を見上げた。
その目から、あの夢見るような光はぬぐい去られてた。
そうやって、魔法みたいな瞬間は消えていったんだ。

雪でも降るのかな。
そう言いながら、英二はオレの横に並んだ。
そして、オレたちは黙って帰ったんだ。
静かな夜の町を。ふたりきりで。

その晩、オレは英二をダウンタウンから出すことに決めた。

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Posted on 2010/09/25 Sat. 11:41 [edit]

category: BANANA FISH(創作)

thread: 二次創作小説(版権もの  -  janre: アニメ・コミック

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