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Quiet Day

「BANANA FISH」二次元妄想小説サイト。

肉食女子 

ご無沙汰しております、7月初の更新です^^;

先月から私の勤め先にも徐々に震災の余波が出始め、
売り上げ減→会議増→通常業務の停滞という流れに加え、
異動したてということで比較的ゆるやかだった業務が
ここにきてどーんと増加してまいりまして…

先週末も、会社から解放されたらすでに21時を経過。
もちろん夕飯はまだで、お腹ぺこぺこ。
「こんなときは肉だろ肉!」と思ったのですが、
ハンバーグとかでは今いち物足りない気分。

てなわけで、行ってきましたよ、ひとり焼肉へ!
会社とも家とも別方向の、上野くんだりまで!!
いえね、ちょっと前にネットで「ひとり焼肉用の店がオープン!」って
ニュースが流れたのを覚えていたもんで、つい。
ケータイで位置確認しながらの往訪だったのですが、
上野に不慣れということもあり、お店に辿り着くのに少々時間がかかりました。

店内はネカフェっぽく細かく仕切られていて、各席に小さなコンロがひとつずつ。
基本、肉は一枚ずつのオーダーで、注文紙に書いてお店の人に手渡す形式です。
私は肉を5種類、ごはん、カクテキ、ドリンクなどをオーダーしたのですが、
時間が遅くてすいていたのか、すぐさま全部もってきてくれました。
お味は…まあ、お安めの焼肉チェーン店の標準的な肉質ってとこですね。
とにかく気分が肉肉肉!!という感じだったので、
充分満足しながら焼きまくり、食らいまくり、みごと完食して店を出ました。
あ、気になるお会計は、トータルで1,800円足らずでした♪

ひとり焼肉

女子として越えんでもいいハードルを、またひとつクリアしてしまった気がするこの頃。
こうやって小爆発めいたストレス発散をしながら、
なんとか夏休みまで持ちこたえたいと思ってます。
そして必ずや、アッシュのバースデーにはSS更新を…!
え、ええ、公言したからにはやりますよ、何かを乗り越えた女として!!

Posted on 2011/07/27 Wed. 00:30 [edit]

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27

プール 

「まあ、ここの住民で、あそこを利用したことがないだなんて!」

このところ、ずっと雨が降り続いている。
アッシュもその仲間たちも、自分には知らされない『用事』で、家をあけたままだ。

「あのプールはそりゃあすばらしいのよ、英二。
水質管理がしっかりされてるから水がやわらかくて、
あのイヤな塩素のにおいもしないの」

たまった写真の整理を終え、読みかけの雑誌も読みつくしてしまった。
いいかげん時間を持て余した英二は、
ふとスーパーでのミセス・コールドマンの熱弁を思い出し、
このアパートのプールを訪れる気になったのだ。

この建物のなかに、こんな立派なプールが隠されていたなんて。

英二は水に浮かびながら、ドーム型の天井を見上げた。
広々と贅沢な作りなのに、泳いでいるのは自分と年配の男性がひとりだけ。

この時間にきて正解だったな。
英二はひとり微笑んだ。
ビジネスマンが帰宅するには早いし、
主婦たちはちょうど夕食の支度を開始する頃合いだ。

夕日が差し込むプールの水を、
ゆったりした背泳ぎでかきわけるように進む。
泳ぐのは、ただ純粋に気持ちがいい。

英二が最後に泳いだのは、去年の夏だった。
まだアメリカにきたばかりの頃。

意識が水に溶け出し、記憶が散り散りに霧散していく。
 つめたい川の水面に
  降り注ぐ日光がきらめいて
   声が


「ひゃっほーー」
雄たけびのような歓声をあげて、真っ先にショーターが水に飛び込んだ。
アッシュ、英二がそれに続く。
三人とも、服を身につけたままだ。

何しろ初夏の気候の中、
男5人が車に詰め込まれ、走り続けてきたのだ。
着替えがどうこうより、まずほこりや汗を洗い流してしまいたかった。

英二は頭まで水にもぐり、ぷかりと浮かび上がって満足の吐息をついた。
夢見ていたのはまさにこれだと感じる。
つめたく澄んだ川の水に全身を浸すこと。
仰向いて水に浮かびながら、太陽のあたたかな光をまぶたに感じること。

「…すごく気持ちいい」
「だな」
素直な英二の感想に、傍らのショーターがにっと笑う。

「しかし川ってのは、水がつめたいもんなんだな」
「そうだよ、知らなかったの?」
「オレが知るかよ。生まれたときからNY暮らしで、
川で泳いだなんてのは、こないだのハドソン河が初めてだ」
「そうか…都会の子だったんだね、ショーターは。
ぼくは田舎の子だから、子どものころはよく川で泳いだよ」
「へぇ。それを言うなら、あそこにもカントリー・ボーイがいるぜ」
くいとショーターが親指でさし示した先では、
アッシュが水しぶきの少ない、きれいなクロールで泳いでいた。

「…いいフォームだね」
「ああ。まったく何をやらせても、しゃくにさわるくらい絵になりやがる」
ショーターの笑顔は、できのいい弟を自慢するそれに近い。
英二は目を細めて、まぶしい初夏の太陽を見上げた。
伊部とマックスは、ガソリンの補給がてら街へ買出しに行っている。
たぶん、あと1時間は戻ってこないだろう。

「あー、ところでな。あれは良くねぇよ、英二」
「え?」
「おまえ、目をつぶっただろ。銃を撃ったとき」
「あ…」

思い出した。
忘れっこない。
クラブ・コッドにトレーラーで突っ込んだとき。
あの日、英二は生まれて初めて銃で人を撃ったのだ。

「いいか、ドンパチのときに何があっても目をつぶるな。
やるにしろ、やられるにしろ、
しっかり目を開けて、何もかも見届けるんだ」
「うん」

英二は恥ずかしかった。
何もかも本当のことを見たいといったのは、自分なのだ。
それなのに。

「うん、わかった」
「よーし、いい子だ」
ショーターはくしゃっと顔じゅうで笑うと、
英二の頭をぐりぐりとなでた。

「ちょっ…やめろよ、子どもじゃないんだから!」
「んー、おまえって、うちのチームの二番手と同じくらいのサイズだなぁ」
「きみんとこの?」
「おう。ま、あのガキにこんな真似したら、間違いなく瞬殺されるけどな。
カメハメ波!とかいって」
「ドラゴンボールだよ、それじゃ」
英二は思わず吹き出した。
この陽気で世話好きな青年に、腹をたてるのはむずかしい。

「へくしゅっ」
ショーターは派手なくしゃみをした。
「あー、いけねぇ、体が冷えてきたぜ」
「大丈夫? いちど水からあがったほうがいいよ」
「だなぁ。よっこいせっ…と」
ざばっとしぶきをあげて、ショーターは岸によじのぼった。
「じゃあオレは、ちょっくら昼寝してるわ。
おまえらは楽しく遊んでろよ」
「はいはい、いい夢をね」
英二はひらひら手を振った。

抜き手をきって泳いでいたアッシュが、
濡れた髪を指でかき上げながらそばへやってきた。
「なんだ、年寄りはダウンかよ」
「またそんな…。まだ頭の傷が治ってないんだよ、ショーターは。
そういえば、きみのほうは平気?」
「ああ、もう何てことないぜ」
オーサーの弾丸がかすった肩を、ぐるぐる回してみせる。
「…ほんとにタフだよねぇ」
「なんだよ、そのあきれたような言い方は」
「ほめてるんだって…んっ!」
アッシュがぴっと水を飛ばし、英二が負けずにそれに応戦する。
ふたりは子犬がじゃれあうように、ざぶざぶと水をかけあい始めた。
平和な田舎町の人けのない川辺に、少年たちの快活な笑い声が響く。

この輝かしい初夏の太陽。
濃い影をおとす木々の緑。
金色の髪の友人の弾けるような笑顔。
英二のなかで、ふっと現実感が遠のいた。
まるで日本で思い描いていた、空想のアメリカにいるみたいだ。

「わっ!」
一瞬動きをとめた英二は、アッシュが浴びせた水しぶきをもろにかぶった。
目をぎゅっとつぶると同時に、平衡感を失った体がぐらりとよろける。
「英二!!」
とっさに手をのばしたアッシュに、英二は両腕でしがみついた。
ふくらはぎに痙攣のような痛みが走る。

「うわっ…おい、英二、そんなにしがみつくな!」
「ご、ごめん、でも、足がつっちゃって…」
こむらがえりをおこして焦る英二を、
アッシュはなぜか困ったように引きはがそうとする。
水の中でじたばたともがく二人の頭の上から、
おかしそうな笑い声が響いた。

「やれやれ、おまえら、オレが頼りなんだな。ん? そうだろ?」
ショーターの恩着せがましくも嬉しそうな口調に、
アッシュが眉をしかめる。
英二はアッシュにちらりと視線を流し、目配せを送った。
アッシュがにやりと笑って、小さくうなずく。

「ほれ、つかまれ」
無造作に差し出されたショーターの腕に、
ふたりは勢い良く同時にとびついた。
「わっ…このバカ!」
体勢を立て直すまもなく、
あっというまにショーターの身体は水に引きずり込まれた。
派手な水しぶきがあがる。

わっとばかりに笑い出したふたりに、
水面にぽかりと浮かび上がったショーターが怒ってかみついた。
「ふざけんなよ、このガキども!
このおにいさまのせっかくの親切を…っぷ!」
アッシュがその顔に、思いっ切り水をぶっかける。
「~ってめぇ、今日こそ勝負つけてやるぜ!」
「上等だ!!」

今度はショーターとアッシュの水の掛け合いが始まった。
その光景を笑いながら見ていた英二は、
まだひきつる足をなだめながら、ゆっくりと張り出し板のところへ泳いでいった。

いつかこの光景を思い出すとき、ぼくの胸は痛むだろう。
ふと、そんな予感が英二の胸をかすめた。
でも、夏の陽射しには魔法がある。

やがて遊び疲れた三人は水からあがり、木陰でごろりと寝転んだ。
服と身体を乾かしがてら、うとうとと昼寝をする。
素朴で贅沢な、昼下がりのひととき。

そうして大人ふたりが戻り、また車に乗り込む頃には、
英二の胸をよぎった予感はあとかたもなく消え去っていた。


『オレが頼りだろう?』
陽気な友人の声が、やさしく耳をなぶる。
嫌なことがひとつもない、奇跡のような一日。
陽光が降り注ぐ三人の世界に、
暗い影を落とすものは何一つなかった。

英二はゆっくりまばたきをした。
今なら言える。
あれはきっと、小説や映画でくりかえし描かれる
永遠によく似た幸福な夏の日だった。
あれからもう一年も経った。
まだ一年。

英二はゆらゆらと揺れる水の中で、
こじあけるように目を見開いた。
わかってる。
目は閉じない、何があっても。
きみが、教えてくれた。

ぼくはもっと強くなるよ、ショーター。
彼と並んで歩き、
彼の悪夢を追い払い、
彼の避難場所になれるほど、強く。
今は無理でも、いつか必ず。

照明のきらきらした明かりが目にしみる。
水面ごしに見える世界は
どこまでもゆらゆらと頼りなく、綺麗だ。

そろそろ帰る時間だ。
でも今はもう少しだけ、この水に漂っていたい。
大丈夫、彼が帰ってくるまでには部屋に戻り、
何もなかったように笑ってみせるから。
きっとそうするから━

水はすっぽりと英二を包みこみ、
からかうように、なだめるように、やさしく揺らしつづけた。

それは、懐かしい友人のあたたかな腕のようだった。

END


イラスト集のアッシュと英二の短編に、ショーターをプラスして妄想してみました。
だって、時期的にぜったい彼もいたはずだと思うんですよ!

Posted on 2011/06/20 Mon. 00:57 [edit]

category: BANANA FISH(創作)

thread: 二次創作小説(版権もの  -  janre: アニメ・コミック

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20

草津日帰り旅行記 

自分でもすっかり忘れてたトーフサンドの画像を、
やっとこさアップさせていただきます。
たぶん、あれから3、4回くらい作ってますが、
会社へ弁当でもっていくことが多いので、つい撮影の機会を逃してました。

トーフサンド

たしかに豆腐がとてもボリューミーで食べ応えあるので、
ランチはがっつりいきたい派の私には、定番メニューになりつつあります。
でも「すごく美味しい♪」というようなモノではないですねぇ、正直言って。
アッシュ、やっぱりきみはいつだって正しいよ!
うーん、てりやきにも少しコクを出したほうがいいのかな?
次回は味付けにも工夫してみよう…

話変わって、この週末は草津に行ってまいりました。
高崎在住の友人と落ち合っての、日帰りプチ旅行です。
夜中、久しぶりに携帯の地震速報が鳴り響いたのにはビビリましたが、
めげずに出発!
いやあ、夜中に聞くあの音は、ほんとに心臓に悪いですわ…

湯畑

「口に含むと歯が溶ける」とまでいわれる成分強すぎの草津の湯は
熱めが基本らしいのですが、草津最大のその名も『西の河原露天風呂』は、
ちょいぬる目の湯かげんがとっても好みでした!
死んだ虫とか落ちた葉っぱとかが沢山浮いてるけど、まあ屋外ですから(笑)
何より、どーんと山に囲まれた絶景を眺めながらの入浴はサイコーでした!
洗い場がないのは残念ですが、他にも行った日帰り入浴施設の中で
いちばんのお気に入りになりました。
さすがに浴場へのカメラ持ち込みは禁止されてたので、入口の画像をば。

西の河原露天風呂

私にとっては初草津だったのですが、リピーターの友人に言わせると
やっぱり人出が少ないそうです。
たしかに食事処はともかく、お土産やさんにまったく人がいない!
うーむ、せっかく梅雨の合間の好天だったのになぁ。
今回の地震の余波がいつまで続くのかわかりませんが、
東日本の観光業が盛り返すのは、まだまだ時間がかかりそうです。
そういえば、先日ちょっと立ち寄った浅草も観光客がめっきり減ってたな…

浅草寺

こうして旅行記なんてアップしてると、
割とあちこち行ってるように見えるかもしれませんが、
しょせんはインドア派のひきこもり…
おまけに、私の思考と活動がほぼ停止してしまう暑い夏がひかえてますので、
たぶん10月くらいまで、一都三県を出ることはないと思われます。
なので、せめてその間はブログ更新に励んでみようかと!
私の二次小説は、季節ごとにその時期の原作エピソードを追いかける傾向があるので、
これからの季節は連載初期の話になりそうです。
まずはずっと書きかけになってる、大好きなショーターが登場する話を完結させたいなぁ…

Posted on 2011/06/05 Sun. 23:38 [edit]

category: 旅行

thread: 国内旅行  -  janre: 旅行

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05

BANANA回転は続くよ どこまでも 

今回の大回転が訪れたとき、文庫版の原作はすぐ揃えましたが
(『ANOTHER STORY』しかもってなかった)、
いつものようにカーッと燃え上がって、1、2ヶ月で沈静化するんじゃもったいない!
今回は、他のBANANAモノはゆっくり攻めていこう!と決めました。
で、早や8ヶ月が経ち、欲しかったものはなんとかゲット。

イラスト集&ガイドブック
まずは定番中の定番、イラスト集とガイドブック。
何より驚いたのは、ガイドブックこそ古本での購入となりましたが、
イラスト集はフツーにアマゾンで定価で売ってたこと。
だって、1994年刊行ですよ?!
さすがは少女まんが界が誇る名作、私たちの愛がさめやらないのも当然ですねぇ。

すぺさるBOX

そして、発売時には「またファン心につけこんでこんなバカ高いものを!」と
腹が立ったBANANA FISHスペシャルボックスも手に入れちゃいました。
だ、だって、やっぱり奥村英二ファースト写真集が見たいじゃないっすか!!
外国小包っぽい缶をあけると、トランプだのバンダナだの携帯ストラップだの
ちまちました小物類が詰め込まれており、やっぱ子どもだまし感は否めません。
でもせっかく手に入れたんですもの、モノは使わなきゃ意味がない!

腕時計
つーわけで、とっくに電池が切れてた腕時計も、1,500円(高いぞ!)で電池交換。
さすがに会社にはしていきませんが、しっかり使ってます、ええ。


旅行バッグ
一泊程度の出張や旅行のときに愛用しているバッグのベルト穴に
BANANAピンバッジを取り付けてみました(見づらいかな?)。
軽くて量も入るので気に入っているのですが、
このプチカスタマイズで、よりお気に入りになりそうです♪

あ、本命の写真集の話題が出てきてない…
ま、まあ、とくに語るべきことはない内容だったと察して下さい。
写真はNYの絵ハガキを集めたようなものばかりだし、
イラストも連載時とは大幅に絵柄が変わっていて、
「こ、これ、アッシュ?」というような感想になってしまって…
うう、キャラに思い入れが強すぎると、ついつい見る目がシビアになってしまってアカンです。
むしろ、シンと暁の結婚式や、マックス&マイケル親子、
ジェンキンズ警部&娘たちのショットなどは、
とても味があるその後のひとコマとして、素直に楽しめました。

写真集

お買い物はほぼひと段落しましたが、今回、久しぶりに少ないお小遣いを握りしめて
文房具やらカレンダーやらを集めたBANANA連載時の気持ちを思い出しました。
原作が終了して十年以上たった今もこんなに楽しませてくれて、ありがとうBANANA!!

◎レス不要の拍手コメント、ありがとうございました◎

Posted on 2011/05/29 Sun. 01:18 [edit]

category: 雑記(BANANA FISH)

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29

インタビュー 

※『終わりなき夜に』のエピローグ編です

こんにちは。
初めまして…ではないですね?

ああ、やっぱり。
個展のときに取材にいらしたかたですね。
あのときはいい記事を書いて下さって、ありがとうございます。

…ああ、ネットのうわさのことなら、耳に入ってます。
ぼくの個展に展示されたある写真の被写体が、
過去の少年犯罪者にとてもよく似ていると。

あれは、今はもう亡いぼくの親友の写真です。

彼はわがままで、皮肉屋で、
だけど神様がつくったどんな人間より美しい、
かけがえのない人でした。

自分ではわからないけれど、
彼の死後、ぼくはとても変わったそうです。
たぶん彼は、ぼくの一部も連れていってしまったのでしょう。

彼を失ったあと、ぼくはただ街をうろついて写真を撮り、
働いて、食べて、眠りました。
でも、どんなに手堅い日常を積み重ねても、
ときどきふっと現実が遠ざかる。
どうしようもなく独りだと思ってしまう。

いま思い返すと、あの頃の自分はあいまいで、
その先につながるものを何ひとつもたない、
かたちのない生きもののようでした。

そんなとき、ある友人がぼくに言ったのです。
彼は先に行ってしまっただけだと。
いつかきっと、また会えるのだと。
その言葉は思いがけないほど、ぼくの心を慰めました。

大切な人が自分を待っていてくれると思うのは、いいものです。
いつかぼくの生が終わるとき、彼がそこにいてくれるのなら
ぼくはこの人生で見つけた良いものを集めて、
贈りもののように彼へ届けてあげたい。

子どもじみた考えかもしれませんが、
そう思うことでぼくはやっと、
次の扉に手をのばす勇気がもてたのです。

共に過ごした短い日々の中で、ぼくは彼にいくつか約束をしました。
へたくそなピアノを聞かせること。
ぼくの故郷へ連れていくこと。
ずっとそばにいること。

ぼくはそれを、ひとつも守ることができませんでした。
ほんとうに、何ひとつ。
だから、この約束だけは守らなくちゃいけない。
これは誓いであり、契約なんです。

写真を撮り続けるのは、だからです。
ぼくは今でもレンズをのぞくとき、
かつて彼が照らしてくれた光のなかで、
この街を、世界を見ているのです。

狂ったように夜の街を走る車の窓から見た高架線。
図書館のそばの屋台からただよう、プレッツェルの香り。
フェリーからながめた美しき女神。
きっと、何十年たっても忘れないあの日々。

きれいは汚い、汚いはきれい。
みんな、彼が教えてくれました。

だからその日までは、ぼくは自分の中の生を生きてゆきます。
過ぎていく時間のすきまや、光のなかに目をこらして。
カメラのファインダーごしにみえる一瞬を、
永遠に見せるまねごとをしながら。


━ いつか、会えるに違いないと。

END


昨年秋からずっとPCの中に眠っていた駄文を、やっと完成させて放出することができました。
ああ、すっきりしたー!

Posted on 2011/05/21 Sat. 01:11 [edit]

category: BANANA FISH(創作)

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21

終わりなき夜に -シン編- 

その電話は、深夜にかかってきた。

『あいつは、明日、ここを出る』
だから、頼む。

ユーシスのコネで、掘り出し物の物件が見つかったと連絡してから約一週間。
明日、英二はダウンタウンを出ていく。


その日、シンは落ち着きなく
空っぽのアパートメントの中を歩き回っていた。
自分でも馬鹿馬鹿しく思えるほど緊張していた。
英二と二人きりで会うのは、あの別れの日以来だった。

彼がこの街に戻ってから、
会うときにはいつも他の誰かがいた。
マックスとジェシカ。
アレックスやボーンズ、コング。

ひとりで英二に向き合うのがこわかった。
会えば、死の話からはじめなければならない。
アッシュの死。
親友で兄だった男の死。
思えば、彼らが近づいたのも、ショーターの死がきっかけだった。

シンは苦く笑った。
まるで自分たちは、死によってわかちがたく結びついているかのようだった。

じゃあ、あの二人は?
アッシュと英二は、何で結びついていたのだろう。

あの二人の間にあったものを、言葉であらわすのは難しい。
ガキっぽい軽口の応酬。
黙っているときにも流れていた、あのやさしい空気。
彼らはそこにいるだけで、ただ調和していた。

その完全な結びつきを壊したのは、自分の兄なのだ。
シンは心が怖じけるのを感じた。

それでも、英二に会わなければならない。
アレックスに約束したから?
確かにそうだが、それだけが理由じゃない気がする。

きっと自分は、彼とわかちあいたいのだ。
誰とも分け合えない、この胸の痛みを。
今日も明日もあさっても、
あのとき何かできなかったのかを繰り返し考え、
眠れないままに夜明けを待つ、終わらない夜を。

「…入ってもいいかな?」
いきなり後ろからかけられた声に、シンはびくりと振り向いた。
スーツケースと一緒に玄関にたたずむ、小柄な姿。
「追い出されちゃったよ」
久しぶりに会う英二はそう言って、困ったように笑った。


彼は横たえたスーツケースの上に座りこみ、
もの珍しそうに室内を見回した。
「すごいね。広いし、きれいだ」
「…気に入ったか?」
「そりゃあ。でも、予想外だったな。
前の部屋とそんなに家賃変わらないのに」
「ワケありなんだよ。
女にフラレて自殺した前の住民の幽霊が出るっていうし、
管理人はせんさく好きなおせっかい爺さん。
おまけに隣は音楽学校の落ちこぼれで、一晩中ヴァイオリンをかきむしってる」
「何それ、どこまでが本当?」
「さあな、住んでみりゃわかるだろ」
シンは肩をすくめた。

「それよりおまえ、荷物はたったそれだけか?」
「うん。着替えとカメラ一式くらいだから。
とくに家具とかもってないしね」
「じゃあ、ひと通りそろえに行くか」
「いいよ、そんなの。
せっかく広いところを見つけてもらったんだし、
とうぶんこの空間を楽しみたいな」

彼はひなたの猫のように目を細め、窓辺をながめた。
つられて、シンもそちらに目をやる。
まだカーテンもかけていない窓からは、
日曜日の明るく美しい日光があふれていた。

遠くから聞こえるサイレン。
ドライバーたちが絶えず鳴らしているクラクション。

ふたりはしばらく、その都会の音楽に耳を傾けた。
暖かな五月の日光を分かち合いながら。

「…みんな、ぼくが駄目だというんだ」
英二は独り言のように呟いた。
「学校へ行って、写真を撮って、働いて、眠って。
ちゃんとやれてるつもりなのに。
アレックスも、マックスも、ジェシカも、みんな」

どうしたらいいのかわからないんだ。
英二はシンの顔を見上げた。
途方にくれた子どもの目だ。

シンは、あの強い瞳の少年を思い出していた。
バイクで駆け抜けた、晩秋の日。
今の彼は、疲れ、冷えきり、しずかに、絶望していた。

黒い川が流れている。
その重い水にとらわれているのは、自分のはずだった。
いまは英二まで、その流れにのまれようとしている。
逃がしてやらなくては。早く。
だけど、何ていう川だった?

「英二」
「…なんて顔してるの」
「英二」
まぶたの裏が熱くなった。
本当は、会いたくてたまらなかった。

「すまなかった」
シンは絞り出すように言った。

すまなかった。すまなかった。
許してくれ。すまない。

壊れたレコードのように、シンは同じ言葉を繰り返した。

「アッシュは、きみのことが好きだったよ」
英二は静かに言った。
「いつだって、本当に好きだったんだ」
伝えられて、よかった。

どちらからともなく手を伸ばし、ふたりは抱き合った。

「あいつは、先に行っちまっただけだ」
シンはかすれた声でささやいた。
「いつか追いつく。嘘じゃない。だから」
「…また、いつか?」
「ああ。だからそれまでは」

オレといっしょにいてくれ。

その言葉に、英二の身体が震えた。
何かいいたげに小さく身じろぎし、
やがてシンの背中に回された指に、そっと力がこもった。

わずかに。
でも、確かに。

その感触がうれしくて、
シンはより強く彼を腕の中にとらえた。

しっかりとつかまえていなければ、きっと消えてしまう。
いなくなってしまう。
自分たちのために命を投げ出した、あの二人のように。

オレは言わない。
アッシュが握りしめていた手紙のことを。
あれがなければ、ラオにやられるようなことはなかったはずだなんて。
死んでも言わない。

そうして彼らはお互いの体にすがりつくように寄り添い、
同じリズムで脈打つ鼓動にそっと耳をすませた。

暗闇におびえる子どもたちがそうするように。
夜の底にとらわれてしまわないように。

いつまでも。

END


どこまでも暗いこのシリーズ、じつはまだエピローグ編があったりして…
しつこくて申し訳ないですが、もう少しおつきあいいただければとても嬉しいです。

Posted on 2011/05/15 Sun. 21:47 [edit]

category: BANANA FISH(創作)

thread: 二次創作小説(版権もの  -  janre: アニメ・コミック

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15

近況&拍手のお礼 

みなさま、良いゴールデンウィークをお過ごしでしょうか。
今年は有休を取れば、2ケタの大型連休が可能な日程ですね。
残念ながら、私は暦通りの飛び石連休なので、明日は普通に出勤ですわ^^;

それでもおととい、友人と箱根へ遊びに行ってきました。
久しぶりにロマンスカーに乗れて嬉しかったですねぇ(ああ、鉄っぽい発言…)。
ほぼ満席だったので、「お、もうこのあたりは観光地として復活したのね!」
と思ったのですが、現地に着くと人出はそこそこ。
うーむ、やっぱりどっとレジャーに繰り出すほど、今の日本は平和な状態じゃないってことですね。
友人は最近地震が多発している茨城県在住で、
「もう震度4までは普通。5になるとちょっと用心する」と言ってました。
でも、5の地震がきても風呂からあがらないのは、ちょっとどうかと思うぞ…

箱根は何度かきたことがあるし、今回は天気もいいので
「アウトドア路線でいくか!」と意見がまとまり、湯坂路を巡ってみました。
最後の急な坂以外は道もなだらかだったし、山にはまだ桜も残っていて、
アウトドア初心者には快適なコースでした。
湯本に戻った後はのんびり足湯をして、ビールで乾杯!
とろろづくしのコースはさらりといくらでも食べられて、
気づけばけっこうな量をおなかに入れてしまったような…
い、いいのさ、だって一日で二万歩以上歩いたもの!
ええ、きっと大丈夫!!(何がだ)

箱根


では、本日までの拍手のお礼です。
 ↓          ↓
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Posted on 2011/05/01 Sun. 22:14 [edit]

category: お礼

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