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Quiet Day

「BANANA FISH」二次元妄想小説サイト。

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草津日帰り旅行記 

自分でもすっかり忘れてたトーフサンドの画像を、
やっとこさアップさせていただきます。
たぶん、あれから3、4回くらい作ってますが、
会社へ弁当でもっていくことが多いので、つい撮影の機会を逃してました。

トーフサンド

たしかに豆腐がとてもボリューミーで食べ応えあるので、
ランチはがっつりいきたい派の私には、定番メニューになりつつあります。
でも「すごく美味しい♪」というようなモノではないですねぇ、正直言って。
アッシュ、やっぱりきみはいつだって正しいよ!
うーん、てりやきにも少しコクを出したほうがいいのかな?
次回は味付けにも工夫してみよう…

話変わって、この週末は草津に行ってまいりました。
高崎在住の友人と落ち合っての、日帰りプチ旅行です。
夜中、久しぶりに携帯の地震速報が鳴り響いたのにはビビリましたが、
めげずに出発!
いやあ、夜中に聞くあの音は、ほんとに心臓に悪いですわ…

湯畑

「口に含むと歯が溶ける」とまでいわれる成分強すぎの草津の湯は
熱めが基本らしいのですが、草津最大のその名も『西の河原露天風呂』は、
ちょいぬる目の湯かげんがとっても好みでした!
死んだ虫とか落ちた葉っぱとかが沢山浮いてるけど、まあ屋外ですから(笑)
何より、どーんと山に囲まれた絶景を眺めながらの入浴はサイコーでした!
洗い場がないのは残念ですが、他にも行った日帰り入浴施設の中で
いちばんのお気に入りになりました。
さすがに浴場へのカメラ持ち込みは禁止されてたので、入口の画像をば。

西の河原露天風呂

私にとっては初草津だったのですが、リピーターの友人に言わせると
やっぱり人出が少ないそうです。
たしかに食事処はともかく、お土産やさんにまったく人がいない!
うーむ、せっかく梅雨の合間の好天だったのになぁ。
今回の地震の余波がいつまで続くのかわかりませんが、
東日本の観光業が盛り返すのは、まだまだ時間がかかりそうです。
そういえば、先日ちょっと立ち寄った浅草も観光客がめっきり減ってたな…

浅草寺

こうして旅行記なんてアップしてると、
割とあちこち行ってるように見えるかもしれませんが、
しょせんはインドア派のひきこもり…
おまけに、私の思考と活動がほぼ停止してしまう暑い夏がひかえてますので、
たぶん10月くらいまで、一都三県を出ることはないと思われます。
なので、せめてその間はブログ更新に励んでみようかと!
私の二次小説は、季節ごとにその時期の原作エピソードを追いかける傾向があるので、
これからの季節は連載初期の話になりそうです。
まずはずっと書きかけになってる、大好きなショーターが登場する話を完結させたいなぁ…

Posted on 2011/06/05 Sun. 23:38 [edit]

category: 旅行

thread: 国内旅行  -  janre: 旅行

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05

BANANA回転は続くよ どこまでも 

今回の大回転が訪れたとき、文庫版の原作はすぐ揃えましたが
(『ANOTHER STORY』しかもってなかった)、
いつものようにカーッと燃え上がって、1、2ヶ月で沈静化するんじゃもったいない!
今回は、他のBANANAモノはゆっくり攻めていこう!と決めました。
で、早や8ヶ月が経ち、欲しかったものはなんとかゲット。

イラスト集&ガイドブック
まずは定番中の定番、イラスト集とガイドブック。
何より驚いたのは、ガイドブックこそ古本での購入となりましたが、
イラスト集はフツーにアマゾンで定価で売ってたこと。
だって、1994年刊行ですよ?!
さすがは少女まんが界が誇る名作、私たちの愛がさめやらないのも当然ですねぇ。

すぺさるBOX

そして、発売時には「またファン心につけこんでこんなバカ高いものを!」と
腹が立ったBANANA FISHスペシャルボックスも手に入れちゃいました。
だ、だって、やっぱり奥村英二ファースト写真集が見たいじゃないっすか!!
外国小包っぽい缶をあけると、トランプだのバンダナだの携帯ストラップだの
ちまちました小物類が詰め込まれており、やっぱ子どもだまし感は否めません。
でもせっかく手に入れたんですもの、モノは使わなきゃ意味がない!

腕時計
つーわけで、とっくに電池が切れてた腕時計も、1,500円(高いぞ!)で電池交換。
さすがに会社にはしていきませんが、しっかり使ってます、ええ。


旅行バッグ
一泊程度の出張や旅行のときに愛用しているバッグのベルト穴に
BANANAピンバッジを取り付けてみました(見づらいかな?)。
軽くて量も入るので気に入っているのですが、
このプチカスタマイズで、よりお気に入りになりそうです♪

あ、本命の写真集の話題が出てきてない…
ま、まあ、とくに語るべきことはない内容だったと察して下さい。
写真はNYの絵ハガキを集めたようなものばかりだし、
イラストも連載時とは大幅に絵柄が変わっていて、
「こ、これ、アッシュ?」というような感想になってしまって…
うう、キャラに思い入れが強すぎると、ついつい見る目がシビアになってしまってアカンです。
むしろ、シンと暁の結婚式や、マックス&マイケル親子、
ジェンキンズ警部&娘たちのショットなどは、
とても味があるその後のひとコマとして、素直に楽しめました。

写真集

お買い物はほぼひと段落しましたが、今回、久しぶりに少ないお小遣いを握りしめて
文房具やらカレンダーやらを集めたBANANA連載時の気持ちを思い出しました。
原作が終了して十年以上たった今もこんなに楽しませてくれて、ありがとうBANANA!!

◎レス不要の拍手コメント、ありがとうございました◎

Posted on 2011/05/29 Sun. 01:18 [edit]

category: 雑記(BANANA FISH)

thread: 管理人日記  -  janre: アニメ・コミック

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29

インタビュー 

※『終わりなき夜に』のエピローグ編です

こんにちは。
初めまして…ではないですね?

ああ、やっぱり。
個展のときに取材にいらしたかたですね。
あのときはいい記事を書いて下さって、ありがとうございます。

…ああ、ネットのうわさのことなら、耳に入ってます。
ぼくの個展に展示されたある写真の被写体が、
過去の少年犯罪者にとてもよく似ていると。

あれは、今はもう亡いぼくの親友の写真です。

彼はわがままで、皮肉屋で、
だけど神様がつくったどんな人間より美しい、
かけがえのない人でした。

自分ではわからないけれど、
彼の死後、ぼくはとても変わったそうです。
たぶん彼は、ぼくの一部も連れていってしまったのでしょう。

彼を失ったあと、ぼくはただ街をうろついて写真を撮り、
働いて、食べて、眠りました。
でも、どんなに手堅い日常を積み重ねても、
ときどきふっと現実が遠ざかる。
どうしようもなく独りだと思ってしまう。

いま思い返すと、あの頃の自分はあいまいで、
その先につながるものを何ひとつもたない、
かたちのない生きもののようでした。

そんなとき、ある友人がぼくに言ったのです。
彼は先に行ってしまっただけだと。
いつかきっと、また会えるのだと。
その言葉は思いがけないほど、ぼくの心を慰めました。

大切な人が自分を待っていてくれると思うのは、いいものです。
いつかぼくの生が終わるとき、彼がそこにいてくれるのなら
ぼくはこの人生で見つけた良いものを集めて、
贈りもののように彼へ届けてあげたい。

子どもじみた考えかもしれませんが、
そう思うことでぼくはやっと、
次の扉に手をのばす勇気がもてたのです。

共に過ごした短い日々の中で、ぼくは彼にいくつか約束をしました。
へたくそなピアノを聞かせること。
ぼくの故郷へ連れていくこと。
ずっとそばにいること。

ぼくはそれを、ひとつも守ることができませんでした。
ほんとうに、何ひとつ。
だから、この約束だけは守らなくちゃいけない。
これは誓いであり、契約なんです。

写真を撮り続けるのは、だからです。
ぼくは今でもレンズをのぞくとき、
かつて彼が照らしてくれた光のなかで、
この街を、世界を見ているのです。

狂ったように夜の街を走る車の窓から見た高架線。
図書館のそばの屋台からただよう、プレッツェルの香り。
フェリーからながめた美しき女神。
きっと、何十年たっても忘れないあの日々。

きれいは汚い、汚いはきれい。
みんな、彼が教えてくれました。

だからその日までは、ぼくは自分の中の生を生きてゆきます。
過ぎていく時間のすきまや、光のなかに目をこらして。
カメラのファインダーごしにみえる一瞬を、
永遠に見せるまねごとをしながら。


━ いつか、会えるに違いないと。

END


昨年秋からずっとPCの中に眠っていた駄文を、やっと完成させて放出することができました。
ああ、すっきりしたー!

Posted on 2011/05/21 Sat. 01:11 [edit]

category: BANANA FISH(創作)

thread: 二次創作小説(版権もの  -  janre: アニメ・コミック

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21

終わりなき夜に -シン編- 

その電話は、深夜にかかってきた。

『あいつは、明日、ここを出る』
だから、頼む。

ユーシスのコネで、掘り出し物の物件が見つかったと連絡してから約一週間。
明日、英二はダウンタウンを出ていく。


その日、シンは落ち着きなく
空っぽのアパートメントの中を歩き回っていた。
自分でも馬鹿馬鹿しく思えるほど緊張していた。
英二と二人きりで会うのは、あの別れの日以来だった。

彼がこの街に戻ってから、
会うときにはいつも他の誰かがいた。
マックスとジェシカ。
アレックスやボーンズ、コング。

ひとりで英二に向き合うのがこわかった。
会えば、死の話からはじめなければならない。
アッシュの死。
親友で兄だった男の死。
思えば、彼らが近づいたのも、ショーターの死がきっかけだった。

シンは苦く笑った。
まるで自分たちは、死によってわかちがたく結びついているかのようだった。

じゃあ、あの二人は?
アッシュと英二は、何で結びついていたのだろう。

あの二人の間にあったものを、言葉であらわすのは難しい。
ガキっぽい軽口の応酬。
黙っているときにも流れていた、あのやさしい空気。
彼らはそこにいるだけで、ただ調和していた。

その完全な結びつきを壊したのは、自分の兄なのだ。
シンは心が怖じけるのを感じた。

それでも、英二に会わなければならない。
アレックスに約束したから?
確かにそうだが、それだけが理由じゃない気がする。

きっと自分は、彼とわかちあいたいのだ。
誰とも分け合えない、この胸の痛みを。
今日も明日もあさっても、
あのとき何かできなかったのかを繰り返し考え、
眠れないままに夜明けを待つ、終わらない夜を。

「…入ってもいいかな?」
いきなり後ろからかけられた声に、シンはびくりと振り向いた。
スーツケースと一緒に玄関にたたずむ、小柄な姿。
「追い出されちゃったよ」
久しぶりに会う英二はそう言って、困ったように笑った。


彼は横たえたスーツケースの上に座りこみ、
もの珍しそうに室内を見回した。
「すごいね。広いし、きれいだ」
「…気に入ったか?」
「そりゃあ。でも、予想外だったな。
前の部屋とそんなに家賃変わらないのに」
「ワケありなんだよ。
女にフラレて自殺した前の住民の幽霊が出るっていうし、
管理人はせんさく好きなおせっかい爺さん。
おまけに隣は音楽学校の落ちこぼれで、一晩中ヴァイオリンをかきむしってる」
「何それ、どこまでが本当?」
「さあな、住んでみりゃわかるだろ」
シンは肩をすくめた。

「それよりおまえ、荷物はたったそれだけか?」
「うん。着替えとカメラ一式くらいだから。
とくに家具とかもってないしね」
「じゃあ、ひと通りそろえに行くか」
「いいよ、そんなの。
せっかく広いところを見つけてもらったんだし、
とうぶんこの空間を楽しみたいな」

彼はひなたの猫のように目を細め、窓辺をながめた。
つられて、シンもそちらに目をやる。
まだカーテンもかけていない窓からは、
日曜日の明るく美しい日光があふれていた。

遠くから聞こえるサイレン。
ドライバーたちが絶えず鳴らしているクラクション。

ふたりはしばらく、その都会の音楽に耳を傾けた。
暖かな五月の日光を分かち合いながら。

「…みんな、ぼくが駄目だというんだ」
英二は独り言のように呟いた。
「学校へ行って、写真を撮って、働いて、眠って。
ちゃんとやれてるつもりなのに。
アレックスも、マックスも、ジェシカも、みんな」

どうしたらいいのかわからないんだ。
英二はシンの顔を見上げた。
途方にくれた子どもの目だ。

シンは、あの強い瞳の少年を思い出していた。
バイクで駆け抜けた、晩秋の日。
今の彼は、疲れ、冷えきり、しずかに、絶望していた。

黒い川が流れている。
その重い水にとらわれているのは、自分のはずだった。
いまは英二まで、その流れにのまれようとしている。
逃がしてやらなくては。早く。
だけど、何ていう川だった?

「英二」
「…なんて顔してるの」
「英二」
まぶたの裏が熱くなった。
本当は、会いたくてたまらなかった。

「すまなかった」
シンは絞り出すように言った。

すまなかった。すまなかった。
許してくれ。すまない。

壊れたレコードのように、シンは同じ言葉を繰り返した。

「アッシュは、きみのことが好きだったよ」
英二は静かに言った。
「いつだって、本当に好きだったんだ」
伝えられて、よかった。

どちらからともなく手を伸ばし、ふたりは抱き合った。

「あいつは、先に行っちまっただけだ」
シンはかすれた声でささやいた。
「いつか追いつく。嘘じゃない。だから」
「…また、いつか?」
「ああ。だからそれまでは」

オレといっしょにいてくれ。

その言葉に、英二の身体が震えた。
何かいいたげに小さく身じろぎし、
やがてシンの背中に回された指に、そっと力がこもった。

わずかに。
でも、確かに。

その感触がうれしくて、
シンはより強く彼を腕の中にとらえた。

しっかりとつかまえていなければ、きっと消えてしまう。
いなくなってしまう。
自分たちのために命を投げ出した、あの二人のように。

オレは言わない。
アッシュが握りしめていた手紙のことを。
あれがなければ、ラオにやられるようなことはなかったはずだなんて。
死んでも言わない。

そうして彼らはお互いの体にすがりつくように寄り添い、
同じリズムで脈打つ鼓動にそっと耳をすませた。

暗闇におびえる子どもたちがそうするように。
夜の底にとらわれてしまわないように。

いつまでも。

END


どこまでも暗いこのシリーズ、じつはまだエピローグ編があったりして…
しつこくて申し訳ないですが、もう少しおつきあいいただければとても嬉しいです。

Posted on 2011/05/15 Sun. 21:47 [edit]

category: BANANA FISH(創作)

thread: 二次創作小説(版権もの  -  janre: アニメ・コミック

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15

近況&拍手のお礼 

みなさま、良いゴールデンウィークをお過ごしでしょうか。
今年は有休を取れば、2ケタの大型連休が可能な日程ですね。
残念ながら、私は暦通りの飛び石連休なので、明日は普通に出勤ですわ^^;

それでもおととい、友人と箱根へ遊びに行ってきました。
久しぶりにロマンスカーに乗れて嬉しかったですねぇ(ああ、鉄っぽい発言…)。
ほぼ満席だったので、「お、もうこのあたりは観光地として復活したのね!」
と思ったのですが、現地に着くと人出はそこそこ。
うーむ、やっぱりどっとレジャーに繰り出すほど、今の日本は平和な状態じゃないってことですね。
友人は最近地震が多発している茨城県在住で、
「もう震度4までは普通。5になるとちょっと用心する」と言ってました。
でも、5の地震がきても風呂からあがらないのは、ちょっとどうかと思うぞ…

箱根は何度かきたことがあるし、今回は天気もいいので
「アウトドア路線でいくか!」と意見がまとまり、湯坂路を巡ってみました。
最後の急な坂以外は道もなだらかだったし、山にはまだ桜も残っていて、
アウトドア初心者には快適なコースでした。
湯本に戻った後はのんびり足湯をして、ビールで乾杯!
とろろづくしのコースはさらりといくらでも食べられて、
気づけばけっこうな量をおなかに入れてしまったような…
い、いいのさ、だって一日で二万歩以上歩いたもの!
ええ、きっと大丈夫!!(何がだ)

箱根


では、本日までの拍手のお礼です。
 ↓          ↓
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Posted on 2011/05/01 Sun. 22:14 [edit]

category: お礼

thread: 伊豆・箱根・富士五湖  -  janre: 旅行

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01

ハッシャバイ 

※『甘い爆弾』の前・後編の間に入る番外編です

「じゃあ、その件はケインに伝えとくよ…ボス?」

まだ夜が明けきらない午前5時。
終夜営業のカフェテリアの窓からみえる街並みは、
モノクロ映画のようにくすんで見える。

アレックスの報告を受けていたはずのアッシュの視線は、
はす向かいの交差点に注がれていた。

アレックスがボスの視線をたどると、
小柄な人影が街灯によりかかるようにしてぼんやりたたずんでいた。
どうやら、信号が変わったことにも気づいていないらしい。

英二だ。

親切な車が軽くクラクションを鳴らしてやり、
やっと我に返ったらしい英二は、あわてたように横断歩道を駆け出していく。
アレックスはほっとしてそれを見守っていたが、
あと一歩で渡りきるというところで、彼は縁石につまずき、コケた。

あああ…
心の中で、アレックスが悲痛な声をもらす。
英二はジーンズのヒザをはたきながらどうにか立ち上がり、
車の窓から心配そうに身を乗り出したドライバーに
大丈夫というように手を振っていた。

「なあ、アッシュ…」
アレックスはそわそわとビニールソファから腰を浮かした。
英二は手を振った姿勢で、その場に固まっている。
どうやら、立ったまま寝ているらしい。
アッシュが眉間のシワを指でおさえた。
「…連れて来い」
アレックスは弾かれたように、店を飛び出していった。


「ずっと仕事だったのか?」
「うん。人のいない時間帯に、タイムズ・スクエアで撮影しなけりゃならなくて。
もう30時間近く、起きっぱなしだよ」
英二はふぁああとあくびをしながら、カフェテリアの席についた。
その目が、空席におかれたままのカップに注がれる。
中には、まだコーヒーが半分ほど残されていた。

「彼、いたの?」
アレックスは、困って視線を泳がせた。
このさい、何もいえるわけがない。
英二はぼそりとつぶやいた。
「逃げたな」
いたたまれず、アレックスは大声で追加のコーヒーをオーダーした。

最近は、いつもこうだった。
アッシュは誰よりも先に英二を見つけ出すくせに、
決して彼と向き合おうとせず、さっさと逃げ出してしまう。
いつも取り残される自分やボーンズやコングは、
気落ちする英二の姿に何ともいえない気分にさせられるのだ。

『ったく、恨むぜ、ボス』
向かいの席で、泥のようなコーヒーをおとなしくすすっている姿を
ちらりと見る。
こうやって向き合って話すのは、ずいぶんと久しぶりだ。

思えば、英二が現れたころのアレックスは、
アッシュの片腕として忙しく動き回っており、
彼と時間を過ごすことはほとんどなかった。
文句もいわずカゴの鳥状態におさまっていることから、
内気でおとなしい奴だと単純に思い込んでいたのだ。

まったく、とんでもねぇ勘違いだったよな。
アレックスは苦笑した。

「何?」
英二がとろんと眠たげな目でこちらを見る。
「いや…おまえ、もう帰ったほうがよくねぇか?
なんだったら、車で送ってやるぜ」
「まだへーき」
眠気のせいか英二はどこか舌足らずで、
それが妙に可愛らしかった。

彼との距離が近づいたのは、皮肉なことにアッシュの不在がきっかけだった。
何の説明もないまま、ボスが全てを投げ出すように姿を消してから、
大人しく部屋にこもっていたはずの彼は、それこそ豹変したのだ。

チャイナタウンに乗り込んで、チャイニーズの王子様に喧嘩を売ってくる。
コルシカ・マフィアのパーティを強襲する計画を立て、
銃の撃ち方を教えろと迫る。

こんな奴だったのか。
あのころのアレックスは、日々驚きをもって彼をながめていた。

むちゃくちゃで、もどかしげで、命がけだった英二。

見ているだけで、なんだか胸がわくわくした。
こいつといれば、決して退屈はしないと確信するようなあの気持ち。
あとになってから思い当たった。
それは、彼がアッシュと知りあったころの感覚にとてもよく似ていたのだ。

ためらいがちに、英二が口をひらく。
「…最近、彼はどう? 元気?」
「ああ、別に変わりはねぇよ。この頃はやっかいごとも少ねぇしな」
「そっか」
英二はほっとしたように目を細めて笑った。
やわらかい笑顔だ。
その顔をみていると、不思議な、軽い痛みが胸にきた。

残念だな、アッシュ。
あんたはきっと、こいつに負ける。

愛する人が目の前にいるのに、ただ見守っているのはむずかしい。
遠く離れたところから幸せを祈るより、きっとずっとむずかしい。
だからあとは、たぶん時間の問題だ。

向かいの席で、英二のまぶたはほとんどくっつきそうになっている。
アレックスは微笑んだ。
英二は無鉄砲で、絶望的に銃がヘタで、
なのに強気で、最高だった。

「おら、立てよ。送ってやるから」
「ン…まだ大丈夫だよ」
「いいから、しっかり歩け。
オレはおまえんちのあたりの道には明るくねぇんだから、ちゃんと案内しろよ」
急き立てながら、後部座席に英二を放り込み、
アレックスはゆっくり車を出した。

きょうはボーンズやコングを誘って、久しぶりに飲みに繰り出そう。
そうしたら、この胸の痛みもきっと消える。
彼らのように寄り添える相手をいまだ持てない、このさびしさも。

光がおぼろにさしこみ、本格的に眠り込んでしまった英二の顔を照らしている。
カメラを持たないアレックスは、その姿をただ心に刻みつけ、
頼りなく、不確かで、透き通るような夜明けの街を走り抜けていった。

END


「Hush-a-bye(ハッシャバイ)」は、『おやすみ』とか『ねんねんころり』みたいな意味だそうです。

Posted on 2011/04/25 Mon. 22:59 [edit]

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25

赤い月 

チャイナタウンの路地口で、彼は車のドアを開けた。

「お前たちは、ここまででいい」
「ですが月龍さま、おひとりでは…」
「いいんだ。ついてくるな」
静かに、だが断固と首を振る。

その決意の固さにひるんだように、側近は乗り出した身体を車の中に戻した。
あきらめ悪く言いつのる。
「ではせめて、銃をお持ちください。丸腰ではあまりに危険です」
「いらないよ。僕を誰だと思ってる」
そっけなく言い捨て、月龍はチャイナタウンに足を踏み込んだ。
小茴香や五香粉や唐辛子が混ざりあった臭気が、身体を包みこむ。
その中でひときわ強く香る、香の匂い。

その日は、ラオ・イェン・タイ━
シンの兄の葬儀が行われる日だった。


あまり人気のない路地裏では、小さな子どもたちがそこここで遊んでいる。
月龍が歩を運ぶと、彼らは目をまんまるにしてその姿に見入り、
やがてあわてたように建物のかげに逃げていった。
まるで、何かまがまがしいものでも見たかのように。
月龍は整った顔を、わずかに歪めた。

きょうの彼は、艶のある黒のチャイナ・スーツに身を包み、
髪もゆるめずにきっちりと束ねている。
だが、そんな地味な装いでも、
天女にもたとえられたその美貌は、否応なしに目立っていた。
この身について回る家名と同じく、まるで呪いのように。

母と引き離され、ひとりでこの世界に投げ出されたときから、
彼はひたすら欲していた。
この呪われた家名にもひるまない誰か。
一族と自分を焼きつくし、滅ぼしてくれる誰かを。

あの冷たく燃える炎のような金髪の少年に出会ったとき、
やっと待ち望んでいた人に巡り会えたと思った。
そう信じたのに、あの日本人のせいですべて台なしになった。
月龍は唇をかんだ。

アッシュがあの黄色い小猿に心を奪われ、
友情だの愛情だのという馬鹿げたたわごとにからめ取られていくのを、
月龍は歯噛みするような思いで、ただ見ているしかなかった。

彼は、どうしてもアッシュに教えてやりたかったのだ。
自分たちにとって、人生なんてものはとうに終わっているのだと。

あとに残されたのは、獣の生だ。
安住の地をもたず、生き延びるための戦いが日常として続く日々。
戦いをやめるとき、命も終わる。

月龍は顔をあげた。
香の匂いがいちだんと強くなり、
笛と銅鑼の音が大きく鳴り響いている。
葬儀の列が、すぐそこまで近づいたのだ。


女たちの号泣する声が派手に響くなか、
先頭を歩いているシンは、恐ろしいまでに無表情だった。
その姿は、予想していたよりも月龍の胸を押しつぶした。
ボスとして意識的に大人びた振る舞いをしながらも、
隠しようもなく生命力があふれ出すような少年だったのに。

その感情のない瞳が道の端にたたずむ月龍をとらえ、
わずかに細められた。
後ろにいる母親らしき女に何かささやくと、
まっすぐこちらへやってくる。
葬儀の列の人々の視線が、いっせいに自分に集まるのがわかった。

「なんで来たんだ、あんた」
シンの低い声に、月龍は思わず身がすくんだ。
平坦で、感情のこもらない声。
彼は今まで、この少年のそんな声を聞いたことがなかった。

「わかってるだろう。
ここにいる奴らはみんな、あんたがラオを追いつめたことを知ってる。
李家の名前で守られてると思ってるかもしれないが、
ひとりで乗り込むなんてのは狂気の沙汰だ」
「ああ。わかっている」

月龍は短く答えた。
こちらをうかがう人々の目の中で揺れているのは、
憧憬、畏怖…そして憎しみの光。

「…あのとき、誰もが自分以外の人間のために動いた」

震えるな、僕の声。

「アッシュも、おまえの兄も、あの小猿も、ブランカもみんな。
ただ自分のことを哀れんでいたのは、僕だけだった」

そう。
だからきょう、自分はひとりでここへ来たのだ。
この少年が背負うことになる重荷を、少しでも分かち合うために。

月龍は勇気をふりしぼって、シンと目を合わせた。
シンが何かをさぐるように、じっと彼の白い顔を見つめる。
やがてそこに何を見出したのか、シンは小さくうなずき、葬儀の列を振り返った。

「聞け!!」
シンがいっぱいに声を張った。
「李家の嫡子、李月龍どのも、この葬儀に参列する」

列の中にどよめきが走った。
うろたえるような声に混ざる、明らかな不満の声。
それを制するように、シンがなお声をはりあげた。

「我々は、兄弟の契約を交わした! 以後、彼は自分の家族だ。
彼へ不満がある者は、まず、このシン・スウ・リンに言え!!」

家族。

シンの口から発せられたその言葉に
月龍の心臓はコトリと弾み、やわらかなどこかへ着地した。
生涯ついてまわるはずだった暗闇に、淡い金色の光をばらまいて。

彼もこうだったのだろうか。
月龍はふと、いまは亡い人を思った。
アッシュもあの小猿の前で、こんな気持ちを味わったのだろうか。
切なくて、舞い上がるほど幸せで、
みじめで、嬉しくて。

月龍は、シンに手を引かれるようにして、葬儀の列に加わった。
あちこちから向けられる強い視線を痛いほど意識しながら、
しゃんと背をのばし、前を見据える。
隣にいる義兄弟のために。
彼を愛し、彼のために死んでいった男を見送るために。

後ろから、女たちが大声で泣く声が聞こえる。
その悲痛な声に、否応なく母の最期を思い出した。

━お願い、その子にだけは手を出さないで。お願い。お願い。

鬼に貪り食われながら、彼女はそう叫んでいた。
叫び続けて、そうして死んでいったのだ。
月龍は目をつぶった。

媽媽。マーマ。

美しい人だった。
美しくて、だけどとても弱い人だった。
その運命に、何ひとつあらがうことができないほどに。

葬儀の列が、ゆっくりと動き出す。
月龍は、隣を歩くシンの横顔をそっと盗み見た。

遠い遠い昔から、この身体にくすぶる狂った炎。
その火はまだ消えていない。今は。

もう、ひとりじゃない…そんな思いには、まだ慣れない。
独りであることで、もちこたえられていたこともあるのだ。
それでもいつか、永遠のひとり遊びからきっと抜け出す。
おまえが側にいてくれるのなら、いつかきっと。

月龍はシンと並び、ゆっくりと前を見て歩いた。
春の強い風が花びらを散らしていく中を。
真っ直ぐなタオ(道)を。

END


ついに「英二」と名前で呼ぶことが一度もなかった、この若様。
原作ではけっこう名前で呼んでましたが、心の中では「このチビ! 猿!」と罵っていたに違いないかと。

Posted on 2011/04/10 Sun. 22:06 [edit]

category: BANANA FISH(創作)

thread: 二次創作小説(版権もの  -  janre: アニメ・コミック

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